刊行書籍一覧

 『実験区域』



 1970年/昭和45年4月
  社会新報刊 新書 絶版


     
  • WEB小説第5弾! 幻の長編小説一挙掲載!
    「小説・実験区域」
  • 幻の長編45年ぶりにデジタルで一挙配信!【2015/09.19】

  •  『アルカ小屋』

    1983年/昭和58年4月
    近代文芸社刊 絶版
    「アルカ小屋」「煙突長屋にて」
    「墓標」「曲芸」「転封録」所収


    『霖雨の賦― れぷぶりか短編選』

    1986年/昭和61年9月
    日本図書刊行会刊
    「アルカ小屋」所収 文庫本 絶版


     『夢の終わり』

    2007年/平成19年11月
    新風舎刊(在庫僅少)
    「夢の終わり」「アルカ小屋」所収 化野元名義 絶版



    『チグハグな春』

    2009年/平成21年3月
    郁朋社刊
    発売中です



       作品発表一覧

    「アルカ小屋」

    1965年/昭和40年10月発表 短編
    昭和41年作品同人誌推薦作として
    「文学界」に掲載され、同年上期第
    55回芥川賞最終候補作品になるも、
    同期受賞者なし

    「墓標」

    1967年/昭和42年6月発表 短編
    「夢の終わり」の前駆的作品

    「煙突長屋にて」

    1969年/昭和44年5月発表 短編
    「チグハグな春」の豊洲部分の若書

    「実験区域」

    1970年/昭和45年4月発表 長編
    日本の自衛隊を外国に派兵した
    らどうなるかという、当時としての
    近未来小説

    「曲芸」

    1971年/昭和46年8月発表 短編
    自己描写の形を借りた文体実験

    「転封録」

    1981年/昭和56年5月発表 短編
    石田三成との共謀を疑われて常
    陸五十万石から秋田二十万石に
    国替をされた佐竹義宣を借りて、
    戦に負けるとは如何なる事かを
    書こうとした作品

    「夢の終わり」

    2007年/平成19年11月発表 長編

    「チグハグな春」

    2009年/平成21年2月発表 長編

    「父よ許し給え」

    2009年/平成21年11月Web発表 中編

    「焼きむすび」

    2010年/平成22年1月Web発表
    短編 「墓標」改稿

    「アルカ小屋」

    2010年/平成22年9月Web発表
    短編 有料販売



    2009年5月31日「信濃毎日新聞」に掲載された書評です

    ふるさと 長野の本
    ■「チグハグな春」(大野正重著)
     昭和9(1934)年生まれの著者は、太平洋戦争末期に昭和20年2月末、国民学校4年生の時に、 東京から長野市松代に疎開、そこで敗戦を迎えた。その実体験を基にした小説。主人公は、戦 争と戦後の混乱の中で過ごした少年の日を振り返り、あの戦争とは何だったのかを問い返す。
     飢えた子どもたちの食べ物をめぐっての争い。皆神山の山腹に見えた大本営工事の現場。 がけの急斜面を死ぬ思いで下りた地蔵峠への「行軍演習」。そんな疎開生活の中で、「僕」は 「どこかチグハグ」な違和感を抱く。大人たちの大方はそのとき既に「戦争の行く末に望みを失 っていた」ように見えた。だとすれば、もっと早く戦争を終わらせることはできなかったのか。その 責任は誰にあるのか。
     敗戦の玉音放送の日。泣く6年生を前に、「僕」は「泣く必要なんか、これっぽっちも有りはしない じゃないか」と思う。「何しろ『負けたのは僕じゃない』のだから」
     帰京して目にした東京の惨状。男女共学になった新制中学へ入り、敗血症での闘病を経て高校 へ入学した年、朝鮮戦争が始まった−。
     著者は東京在住。これまでに、1966年上半期の芥川賞候補となった「アルカ小屋」などの作品が ある。